ドイツ歩兵の盾 突撃砲 StuG

Sd.Kfz.142 Sturmgeschutz
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歩兵を直接支援するための「装甲砲兵」、それが「突撃砲」である。
歩兵の前進を妨げる火力拠点や、戦車などを撃破して歩兵の前進を助けるには、強力な砲を最前線に持ち込む必要があった。
当初は3号戦車の車体に砲を乗せ周囲を装甲で覆っただけの自走砲として試作されたが、搭乗砲兵の身が守れず天蓋も装甲を施してゆくうちに、砲の周りを全て装甲で覆う装甲戦闘車両として完成した。
ポーランド、フランス侵攻作戦で、実戦に投入された突撃砲は期待通りの活躍を見せ、歩兵にとって最も頼りになる装甲戦闘車両として認知され、大戦全期間を戦い抜くことになる。

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ワイマール共和国時代に製作された、7.7cm野砲96/16を自走化したW.D牽引車

砲を自走化して、さらに装甲を施すという発想はワイマール共和国の時代からすでにあった。
自走砲は戦車車体に、戦車のような回転砲塔を持たない分、より大型の砲を搭載することが可能であった。
第1次世界大戦の敗戦により、ドイツ企業によるトラクターなどのキャタピラー付き車両の製作は禁止されていたが、ベルサイユ条約の制約が緩和された1926年ごろより、火力支援用のキャタピラータイプの自走砲車両の製作が開始された。

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1936年、突撃砲として最初にプロトタイプとして生産された「O型」生産数は5両

1935年、エーリッヒ・フォン・マンシュタインが陸軍参謀総長と陸軍総司令官宛てに、歩兵に随伴する砲兵中隊を創設し配備すべきという覚書を提出した。
歩兵を最前線で直接支援する「突撃砲兵」の提案であり、マンシュタインの脳裏には装甲自走砲のイメージがあった。
陸軍総参謀総長と陸軍総司令官を兼任していたフォン・フリッチェ上級大将の裁可を得て、1936年突撃砲試作のための正式命令が下った、開発要項として。

1.口径7.5cmの砲を搭載すること。
2.砲の最大射程は6000メートル以上となること。
3.砲には全周装甲を施すこと。
4.全高は人が直立した高さを超えないこと。

などであった。

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突撃砲A型、B型。A、B型の外観上の変化は殆どない。

プロトタイプとして生産された5両のOシリーズは、上部構造の装甲が鋳物で作られており、実戦には不向きであり、5両ともユターボクの突撃砲兵学校で1941年まで訓練用に使用された。
最初の量産型というべきA型が1940年5月までに30両が生産された後、6月からほぼ同型のB型が320両生産された。
A、B型の特徴として照準口の視界を確保するため、前面装甲が扇状に削られているのが外観上の特徴となっている。

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***III号突撃砲A型***
全長:    5.38m
全幅:    2.92m
全高:    1.95m
全備重量: 19.6t
乗員:    4名
エンジン:  マイバッハHL120TR 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン
最大出力: 300hp/3,000rpm
最大速度: 30km/h
航続距離: 160km
武装:    24口径7.5cm突撃加農砲StuK37×1 (44発)
        9mm機関短銃MP40×2
装甲厚:   11~50mm


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突撃砲A型、B型。


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***III号突撃砲C/D型***
全長:    5.40m
全幅:    2.95m
全高:    1.96m
全備重量: 22.0t
乗員:    4名
エンジン:  マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン
最大出力: 300hp/3,000rpm
最大速度: 40km/h
航続距離: 165km
武装:    24口径7.5cm突撃加農砲StuK37×1 (44発)
        7.92mm機関銃MG34×1 (600発)
        9mm機関短銃MP40×1
装甲厚:   11~50mm


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突撃砲C型、D型。C、D型の外観上の変化はない。書類上の分類のみ。


A、B型で敵弾が飛び込んで防御上問題となっていた扇状の照準口を塞ぎ、ペリスコープタイプの照準器に変更された。
C型が50両、D型が150両生産された、D型の3両のみ突撃砲として北アフリカに配備されている、下3枚の写真の突撃砲は北アフリカで撮影されたもの。

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北アフリカの突撃砲D型。


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突撃砲E型。

戦闘室の側面に張り出しが設けられ、車内にMG34機関銃が搭載された、1941年9月~1942年3月までに272両が生産された。

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***III号突撃砲E型***
全長:    5.40m
全幅:    2.95m
全高:    1.96m
全備重量: 22.0t
乗員:    4名
エンジン:  マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン
最大出力: 300hp/3,000rpm
最大速度: 40km/h
航続距離: 165km
武装:    24口径7.5cm突撃加農砲StuK37×1 (50発)
        7.92mm機関銃MG34×1 (600発)
        9mm機関短銃MP40×1
装甲厚:   11~50mm


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突撃砲F型。主砲が43口径75ミリ砲に交換された。

独ソ戦が開始され突撃砲はT34と遭遇し、この型より長砲身75ミリ砲が搭載され、本格的に対戦車戦闘が任務に加わった。
車体の外観はE型と同じだが、43口径の75ミリ砲を搭載したことにより、短砲身タイプの突撃砲とは印象はかなり違ったものとなる、 F型の後期生産タイプの31両は48口径75ミリ砲を搭載している。
359両が生産された。


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***III号突撃砲F型(下の写真は105ミリ野砲を搭載した10.5cm突撃榴弾砲42型)***
全長:    6.31m
車体長:   5.40m
全幅:    2.92m
全高:    2.15m
全備重量: 23.2t
乗員:    4名
エンジン:  マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン
最大出力: 300hp/3,000rpm
最大速度: 40km/h
航続距離: 165km
武装:    43口径(または48口径)7.5cm突撃加農砲StuK40×1 (54発)
        7.92mm機関銃MG34×1 (600発)
        9mm機関短銃MP40×1
装甲厚:   11~80mm


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突撃砲F8型。

車体が3号J型となり、主砲がF型後期生産タイプと同じ48口径75ミリ砲となった、前面装甲にボルトで接合した30ミリの装甲板が増加された。
334両が生産された。


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***III号突撃砲F8型***
全長:    6.77m
車体長:   5.40m
全幅:    2.95m
全高:    1.85m
全備重量: 23.4t
乗員:    4名
エンジン:  マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン
最大出力: 300hp/3,000rpm
最大速度: 40km/h
航続距離: 165km
武装:    48口径7.5cm突撃加農砲StuK40×1 (54発)
        7.92mm機関銃MG34×1 (600発)
装甲厚:   11~80mm


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突撃砲G型。車体が3号M型となり、戦闘室の形状が変更された。

3号戦車車体の突撃砲としての最終生産型、7893両という多数が生産され、突撃砲G型は「THE突撃砲」と呼ぶに相応しい。
戦闘室を拡大し車高は従来タイプよりやや高くなった、車長用のキューポラも設けられた。 G型の後期タイプはザウコフ(Sau Kopf:豚の頭)と呼ばれる防盾になっており、耐弾効果が増している。


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***III号突撃砲G型***
全長:    6.77m
車体長:   5.40m
全幅:    2.95m
全高:    1.85m
全備重量: 23.9t
乗員:    4名
エンジン:  マイバッハHL120TRM 4ストロークV型12気筒液冷ガソリン
最大出力: 300hp/3,000rpm
最大速度: 40km/h
航続距離: 155km
武装:    48口径7.5cm突撃加農砲StuK40×1 (54発)
        7.92mm機関銃MG34×1 (600発)
装甲厚:   11~80mm


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stug_22.jpg stug_09.jpg stug_008.jpg stug_007.jpg stug_006.jpg stug_005.jpg stug_001.jpg BUNDES~12 BUNDES~23

突撃砲G型。


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10.5cm突撃榴弾砲42型。

10.5cmFH18榴弾砲を搭載したタイプ、最前線での火力支援用として、突撃砲の一部を流用して生産された。
試作車を見たヒトラーはこのタイプを気に入り、即座に生産が決定された、搭載している砲は自走砲ヴェスペに搭載したものと同じもの。


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4号突撃砲。

1943年11月に、3号突撃砲を生産していたアルケット社の工場が爆撃で破壊され、突撃砲の生産が滞ったため代替生産されたタイプ、1108両が生産された。
4号戦車車体と区別するため3号戦車車体のタイプを、突撃砲から3号突撃砲と呼称するようになった。



*突撃砲の搭載砲の装甲貫徹力
*突撃砲に搭載されたエンジン


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